フェロモン戦争

はじめて彼に出逢ったとき、そのあまりのフェロモン分泌量に胸焼けしたものでした。このひとのフェロモンはちょっとうっとおしすぎる。セクシーが過剰でなんかもうぞわぞわする。ああ、このひとだけは絶対すきにならない。わたしはそう心に決めました。DVDを観ても、たしかにパフォーマンスの妙は認めるけれど心から服従する気はさらさらないよ。わたしのきすまいちゃん応援スタンスはあくまで天使にかちゃんと類人猿千賀くんを愛でるだから。この姿勢は崩さずにいたつもりでした。わたしはキスマイDVDに嵌りました。朝は起床とともにDVDを流し、夜は就寝の直前までDVDを観ていました。 こ れ が セ ル フ 洗 脳 だ と は 考 え も せ ず に 。

短期間であっても何度もおなじものを繰り返し観れば自然と内容を覚えるものです。流し観していても自分のお気に入りポイントがやってくればそれまでの作業をやめ、テレビ画面に目を向ける。逢えるほうのDVDを流しながら、そうそう、メインステから中央ステまで歩いてくところの二度めに立ち止まったときのウインク笑顔♥(22分36秒地点)と顔をあげてはっとしました。画面に映るのはフェロモンの彼。わ、わたし今彼をお気に入りに認定してしまった!

一瞬の気の緩みはそれまで否定し続けてきた感情をすべて素直にさせる魔法に変わりました。ローラースケート履いて後ろに重心置いた立ち姿がたまらない、その重心を支える彼の骨盤になりたい…!『テンション』の「てーゆーかー」のフレーズを歌うときのマイクをもつ腕の揺れかたがツボ、ついでに「てーゆーかー」の鬼ツン具合もツボ、これ着ボイスにしてほしい…!素直な感情はとどまることを知りませんでした。

屈するものか。その決意はどこへ消えてしまったのか、わたしはフェロモンの化身に魂を売る寸前でした。ほんとははじめから彼を意識していたのよ。強い否定はただの肯定なのよ。嫌よ嫌よはなんとやら?わたしの中の乙女心がわたし自身を誘惑します。ああ、これはもうそういうことなんだ。わたしはわたしの中の乙女心に従うことにしました。

たった2枚のDVDからはじまった気もち。だけどずっと否定してきたこの気もちを覆すにはそれなりの儀式をおこなわなければいけない。わたしは1ヶ月ほど前にこっそり購入していた写真集を手にとりました。決定打はこれで打とう。写真集を観て完全に彼に降伏してすっきりすんなり彼のフェロモンの下僕になろう。すべてを受け入れたわたしは穏やかな気もちで写真集を開きました。



笑 わ せ る ん じ ゃ な い よ 。



幻だったー!うっかりミスだったー!写真集の彼は購入当時とおなじようにわたしを爆笑の渦へと引きずりこんでゆきました。(スーツジャグジーにときめけるほどわたしは盲目ではありませんでした。)そこにはときめきのとの字もなく、わたしは目が覚めました。彼に屈する?そんなことは夢幻だったのだと。わたしはあくまであのDVDがすきなだけだったのだと。



これがここ数日のわたしと彼のフェロモン戦争の全貌です。


今、彼に屈するポテンシャルがわたしの中にまったくないと言ったら嘘になります。コンサートへいったら間違いなくガン見してしまうことでしょう。だけれどわたしは胸を張って言うよ。 藤 ヶ 谷 く ん に な ん て 屈 し て な い ん だ か ら ね !



おしまい。



来週、少年倶楽部セレクションというのがNHK総合でやるみたいで受信料払ってるのになぜかBS観れないわたしは砂漠の民が恵みの雨に歓喜するほどによろこんでいます。っしゃあ!!!!